.植物の養分吸収をめぐる18〜19世紀の諸説
18世紀から19世紀にかけて、物理学、化学や生物学などの自然科学が急速に発展し、
新しい発見や発明に基づく理論や法則が次々と登場してきた。これにともない、
人々は身の回りのあらゆるものに科学の目を向けるようになった。植物の養分吸収についても、
科学者の関心と探究心が注がれるようになる。
イギリスの農学者トゥルは、植物は動物がエサを食べるように根っこから土の粒を取り
込むとして 「土粒栄養説」 という考え方を1731年に提唱している。これに対し、1761年に、
スウェーデンの化学者ワーレリウスは、土の中の黒い物質(腐植;ふしょく)こそが植物の
養分であるとして、「腐植栄養説」 を唱(とな)えた。この腐植栄養説は、ドイツの
化学者テーアによって支持され、広く一般に普及することになる。
テーアは、1809年から1812年にかけて
『合理的農業の基礎』 全四巻を著し、腐植栄養説を取り
入れた独自の農学理論を展開した。この本は、最近また、わが国で、
翻訳新本 『合理的農業の原理』 として出版され、古典的な再評価が行われている。
その後1804年に、スイスの化学者ド・ソシュールによって、“植物は空気中の炭酸ガスを大量に
吸収して栄養源にしている (光合成)” という現象が定量的に証明され、それまでの植物の養分に
関する考え方に新説が加えられることになった。
この光合成による炭酸ガス以外の養分は、植物はすべて根から無機養分として吸収する、
と主張したのはリービッヒである
日本の土壌学の教科書では、以上のように書かれているが、この部分は大きな誤りである。
リービッヒは最も重要な元素窒素は、空気の窒素ガスを吸収していると考えていた。
天才リービッヒも大きな誤りを犯していることに気付かなかった。
現在では、窒素も根から吸収されることは常識であるが、1870年代までは窒素が根から吸収されることが解からなかった!
ランがラン菌によって発芽することがドミニーによって証明されたのが1853年。
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